ちょっと道草食っていけ。

雑多な日々のあれこれを書いてます。

あれから、これから

今週のお題「わたしとバレンタインデー」

『今日はこれを作る。』
台所で少年二人が並んで立ち、その前にはボウル、ゴムべら、手動泡立て機が置かれている。
『材料ある?』と左の少年が聞く。
『卵と粉と水とココアだろ?あるやろ。』と右の少年。
『まぁ、お前ん家だし頼んだ。』と左の少年に言われ、材料を集めにかかる。

今日はチョコを貰う日だ。
正確にはチョコを貰えるやつは貰えて、それ以外は普通よりも少し凹む日だ。
当然、あの子からの連絡は無い。
(今日が休日だからだ。今日が平日じゃないから。直接家に電話を掛けるのが恥ずかしくて。ソレカラソレカラ…)
心の中で自分を慰める。
当然勝算はない。
だからこうして男二人でお菓子を作っている。

卵発見、ココアは買ってある。水は水道水。粉はない。ホットケーキミックスが無い。
『ほぅ、これはこれは。』と左の少年。
『待て、まだ何か代用できるものが…』と右の少年。
本来ならば、フライパンを熱しココアを混ぜた生地で絵を描き、その上でホットケーキを焼く。これでお絵かきホットケーキの完成のはずだった。

見つけ出したのはお好み焼きの粉。
そこからは二人とも無言でホットケーキ?を作る。
焼く、食べる。
『これは…違うな。』
『あぁ、違う。』

こんな日に男二人ですることでもなければ、
ホットケーキでもなく、
慰めにもならず。

なんとも魚臭いバレンタインデーだった。


追記
次の日、月曜日の戦績。
左の少年は一個。
右の少年は零個。

あれから右は左を13年経った今でも、
裏切り者と呼び、これからも変わることはない。